日外国人向けの防災教育

日本は自然災害が多い国であることは、世界的に知られている。日本人向けの災害知識の
普及や防災訓練などが日常的に行われているが、日本で暮らす外国人にとっては言葉、習慣
などの壁があり、防災教育が十分に行き渡っていない。また、気象庁、消防署、各自治体、テ
レビ、ラジオ等の放送局の発信する防災や災害時の情報はほとんどが日本語であり、漢字や
専門語が多用されている。こうした背景から、「日本在住の外国人は、災害の知識や、身を守
るスキルが日本人に比べて少なく、災害時、外国人の被災例が多い」という事実が報告されてい
る(岡本、2006)。現在日本政府は、「留学生30万人計画」を進めているが、自然災害の多
い日本では、留学生も被災者になる可能性が十分考えられる。2011年の東日本大震災の発生
以降、日本への留学生が減少する事態が生じているが、2016年の熊本地震、2018年度の台風
や北海道での地震による被害が大きく報道され、被災への恐怖心から、日本へ観光、留学、
就職しようとする留学生が更に減少する懸念もされている。
本研究の代表者は、外国人として日本に在住している自らの体験や、在住する県が主催
する外国人向け防災訓練において「災害時外国人サポーター」として毎年活動してきた経験か
ら、多くの外国人に防災情報が行き届いておらず、外国人の防災スキルが低い現状を肌で感
じてきた。また、近年参加した防災関連の学会で、在日の外国人向けの防災研究と教育が重
視されていない現状を知り、外国人が安心して日本を訪れ、在住するためには、外国人を対象と
したわかりやすく、入手しやすい情報提供を行う防災教育システムの開発が喫緊の課題であると
感じた。この背景から、防災教育、モバイルラーニング、語学教育、AR、VRの専門家による学
際的な研究チームを結成し、日本在住の外国人を対象とした、防災情報をわかりやすく提供
し、防災スキルを向上させ、「災害弱者」と呼ばれる外国人を支援するモバイルラーニング
用マルチメディア教材開発の着想に至った。